上田市 建築家の自邸〔2012年4月20日〕ご主人様より

今の世の中なかなか見られない真心が添えられてありました

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 自分にとっては不慣れな建築主の立場での新築工事が終わり、つき物がおちた状態でおります。建築工事をすることに従事すること60年、他人様の家の設計管理を仕事としてきた身としては自分の家を建てることなど考えた事もないことでした。ご縁あって仕事をして頂いた美し信州建設KKと職方の皆様には誠実そのものの仕事をしていただきました。契約による成果品の授受の上に、今の世の中なかなか見られないまごころが添えられてありました。 深い感謝と賛辞を献呈いたします。 

最近私の居宅近辺でも住宅建設のラッシュで百花繚乱、そのスタイルも万別でそれぞれ建て主の要望が込められるのを感じます。それと我が家の姿を比べ、思うことをしるします。

私の建築の師と仰ぐ方のお話で、建物の平面を徹底して練り上げ各部分が其々美しく釣り合うまでになった時、その平面につつましく建て姿を与えるとその姿は必ず美しくなると信じておる。と語られた事を思い、 また経済は美なり、 不要の要素を削れ、との箴言を思いつつ設計をしたこと、などが昨日のことのようです。
 それでも自宅の設計として時間切れ、見切り発車の感は否めず(建築家はその作業中あらゆる部分のスケッチをし残してはならない)という言葉にもかなはぬことでありました。 

 ひとり反省会をするならば内外装仕上げ材選定は私の意見に会社スタッフの提言を容れ決め、とても地味で、流行材はなく、それゆえ将来も流行おくれになることはなく、その風合いに非常な満足を覚えておる所です。随分昔、関西の噺家、月亭某師がTVでロック調夕焼け小焼けを歌い“わかるかな~”と笑いをさそった、あれが現在の心境かもです。 

然しながら美し信州建設さんの最近作を拝見するに私宅の仕様と共通項が多く、また姿もDNA共通の感があり満足の根源ここにありと思ったりもしております。使用される構造材の品質の高さはこれを隠蔽するにはあまりに惜しく、大壁納まりを真壁納まりに変更をお願いしたところ増工費の要求なく、むしろ積極的に施工して頂きました。これは工事費が随分増える事なのですが。

そのころ書店で“良い家をたてるには”という本を求め、外断熱工法は大切だ、と力説され下書きをしておる時でもあったので、美し信州建設KKの工法を聞いたところその書籍より数等高級仕様であり実際に極めて丁寧忠実の施工をして頂き、その成果は室内の皮膚感覚で分かるほどで至極満足、今後一年居住性のテストで、より良く仕上げるつもりです。 

 怪しい起承転結になりましたがこの駄文は建築設計に従事した者が自宅を計画した特異のケースと満足を極めた仕事をされた会社にお世辞で無い賛辞を記しました。

 住み手により(心がけにより)家は良くも悪くもなります。自戒、努力をいたします。