御代田町 大きく暮らすかわいい家

もちろん良かった。全部全部、良かった。

地域別に見る|御代田町

 2階で遊んでいた息子たち。先ほどまでは笑い声が響いていたのに、今、次男が「(兄が)椅子を使いたいのに貸してくれない」と大粒の涙をこぼしながら訴えに降りてきた。言うだけ言ったら、涙を拭き拭き戻っていく。少しの交渉らしき会話があった後で、カツン、コツン、と木と木が触れる音がしばらく続き、「よーし、できたぞ!」という次男のご機嫌な声が響いた。2人で積み木で何かを作っている様子だ。2階の子ども部屋のドアは大体開けっぱなしなので、実は子どもたちの声は私に丸聞こえ。でもおそらく彼らは1階を意識していなくて、2人で自由に、必要な時だけ私を思い出して、独立した2人の関係を築いているように見える。私のほうは、子どもたちの存在や人間模様を感じながら、ペレットストーブの横に座ってこれを書いたりしている。なんだかゆったりした時間だ。1LDKのアパートにいる時だったら、とてもこうしてはいられなかった。そもそも横にいるから子どもたちのケンカにもすぐ口を出してしまうし、パソコンを開けたりもしない。リビング中に散らかった積み木を前にすれば、ちょっと機嫌が悪いと「家を出る前には片づけてよねっ!」なんてプリプリ。


 家全体を包む心地よい木、明るい室内、同じ家の中にいながら、お互いの存在を感じつつ、それぞれが好きなことをして過ごせるよう計画された空間。どうあったって、よりご機嫌に過ごせるのは間違いない。ここに来て5か月が経ったが、まだ全てのカーテンや家具はそろっていないし、棚がついていないままの収納もある。照明が全てつくのには2か月かかった。「引っ越し“前”の断捨離」もなぜかいまだ継続中で、まだまだすっきり片づかない。でも、それも含めて楽しく過ごしている。


 私が思う我が家のいちばんの見せ所は、L字型のリビングダイニングの一角にある少し奥まった場所だ。小さな家なので、ここも3畳くらいと狭いけれど「こもり感」を重視、夫がまったりテレビを見るスペースにと計画した。この場を階段と仕切っている壁は、天井から30センチ位だけ開いている。子どもたちが階段の途中に立って並んで顔を出したり、ペレットストーブの暖かい空気が昇っていって2階まで暖かくなったり、夜リビングの明かりをつけた時に、ここから漏れた光の筋が階段の壁に伸びたり……すごく、いい感じ。今ではソファも設置されて、休みの日や夕食後の時間には、家族全員が集まっている。夫がソファに寝転がれば子どもたちがワラワラと上に乗るので、正直、夫は当初の予定通り「1人でまったり」とはできていないかもしれないけれど。この形は、設計士の高森さんが提案してくださった。打ち合わせでは階段の手すりに沿って斜めの壁にしましょうかーと話していたが、平面図から展開図になったら、こんな素敵なことになっていた。こういった皆さんのアイデアや工夫が、家の各所にある。当初予定していた素材がどうもしっくりこない、リストを見ていても「これ!」というのが見つからない、でも代案も思いつかない、「じゃあ、このままでいいかなぁ……」と諦めかけていたような時も、現場監督の滝澤さんが「もう少し探してみましょう!」と言って、まさに求めていたような素材を探し出してきてくれたり、迷っていたことを伝えていないのに見透かされていたり、「こう言う方が、好みじゃないかと思うんだけど……」と途中で変更の提案をしてもらったものが本当にものすごく好みだったり。そんな奇跡に何度も驚かされた。

竣工式でお伝えしたのは、「良い意味で全くイメージ通りではない、私の想像をはるかに超えた素敵な家になりました」ということ。自宅をほめちぎるようで恥ずかしいが、たくさんの方々の力があって建った家だから、「自分たちが建てた家!」という感じはしなくて、そんなふうに言えてしまった。


 建築のことから法律のことまで、同じような質問ばかりする私に、色々な例を挙げながら丁寧に教えてくださったホームアドバイザーの中村さん。何度も何度も図面を書き直し、そのたびに、はっとするようなプラスアルファを加えて提案をしてくださった高森さん。前述のとおり驚きの奇跡を度々起こしてくださった滝澤さん。そして、いつ行ってもご機嫌で、丁寧で、心を込めてお仕事してくださっていた棟梁の荻原さん。鼻歌こそ歌っていなかったけれど、ビスを打つにもテンポが良くて粋な感じで、子どもたちはいつも、羨望のまなざしを向けていた。皆さんが自分の家のことのようにワクワクしながら家づくりに携わってくださることが、とてもとても嬉しかった。中村さん、高森さん、滝澤さんと私の4人で最後に内装の打ち合わせをしていた時、それぞれが自分の感性や専門性のもとに自由にアイデアを出し合っている様子に、「あ、今作っている家と同じ家は、このメンバーじゃなかったら絶対にできないな」と思ったのを覚えている。美し信州建設さんで、同じ安全性、同じ品質の家ができたとしても、メンバーが変われば、きっとこの家とは違うものになる。それは、現場で家づくりに携わってくださるパートナーの皆さんにも言えることだと思った。例えばもう目にすることができない基礎にも、職人さんそれぞれの、その方々らしい力が注がれているはず。そうして個々人の力が発揮されるのが美し信州建設さんの魅力だと思うし、違う家もまた良いだろうけれど、私にはやっぱり、この家以外は考えられない。最初の計画より家を小さくして良かった。外壁はそとん壁のこの色にして良かった。室内の壁もクレイペイント中心にして良かった。照明も今の配置が良かった。ストーブ下は十和田石にして良かった。変更したいと一度も思わなかった唐松無垢フローリングも、もちろん良かった。全部全部、良かった。


 この家づくりに関わってくださった皆さま。1人ひとりのお力のおかげで、この家が存在しています。皆さんに担当していただけた私たちは幸せ者です。現場でお会いできた方にもできなかった方にも、心から感謝しています。この場をかりて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。(2019年12月)

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